ある夏の日

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今でも覚えている。
あの少女の笑顔を。
あの日、幼馴染の女子がクラスの人気者である男子に呼び出され、学校の廊下という人前で告白された。
その男子も自信があったのか、それとも友達同士のノリや罰ゲームだったのか、よりにもよって夏休みに入る直前に、あえて大勢の目の前で告白されている姿を見せつけられたのだ。特に恋愛的な意識はしていなかった彼にとっては衝撃だった。
そのとき初めて、彼は彼女に対する想いに気がついたのだ。
その女子がこちらに振り向いて、困ったような笑顔を浮かべた。
その顔を忘れられなかったのだ。

そんなことを、彼の柄でもなく語ってしまったのは、きっと今日が20回目の結婚記念日で高めのワインを開けてしまったせいだろう。

「へえ、それがきっかけだったんだ」
と、彼の目の前の女性はイタズラな笑顔を浮かべていた。
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公開:26/06/01 18:54
更新:26/06/01 22:23

高須啓治

わかりやすい言葉で
分かりやすい文章を書きたいと思っています
 

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