一致率十二パーセント

0
1

王都には、親しい相手との理解度を測る証明書があった。

申請者は別々の小部屋で、同じ質問に答える。

好きな季節。
嫌いな言葉。
黙った時、どれくらい待ってほしいか。

七割以上一致すれば、良好。
恋人たちは、紙を見せ合って笑った。

閉庁の鐘が鳴るころ、
老いた二人が来た。

男は杖をつき、
女は古い布袋を抱えていた。

記入は遅かった。
係員は砂時計を三度返した。

結果は、
一致率十二パーセント。

「再検査もできます」

男は女を見た。

「昔から、あんたは雨が好きだったな」

女は窓の雨を見た。

「濡れたくなかっただけです」

男は少し黙り、笑った。

二人は証明書を受け取らず、
一本の傘を開いた。

翌朝、案内板に新しい欄が増えた。

証明書未受領者。
ファンタジー
公開:26/06/04 14:00
更新:26/06/04 13:19

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容