大将、いろいろ触る。

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「なにニヤついてんの?」
テレビを見ていた夫に、妻が声をかけた。
「ここの大将、“素材で勝負、取材NG”だったんだよね」
「で、何なの?」
「レポーターが推しの芸人だから、取材受けたって」
「いいじゃない、別に」
妻は、呆れ顔で夫を見た。
「でも、美味しそうよ」
カウンターに、色とりどりの寿司が並ぶ。
「私、こんな高級なお寿司屋、行ったことない」
「俺もない」
「今度、連れてってよ」
夫の顔を覗き込んだ。
「ん……俺さ、カウンターの寿司屋、ダメなんだよね」
「何で?」
「おじさんが素手でペタペタ触ってるんだよ」
「握りって、そういうもんでしょ」
「いろんなとこ、触ってるよ」
画面の中で、大将とおかみが、楽しげに笑っている。
妻は目を細めて呟いた。
「そうね……回る所でいいわ」
おわり
その他
公開:26/05/30 00:21
寓話 ズレ ブラック 風刺 会話劇

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