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らせん階段を降りてゆく。彼女について降りてゆく。いつも彼女が先だ。ガールフレンドという仲ではない。でもそうなったらと心の底で思っている。彼女は振り向かず、黙って階段を深く降りる。階段を降りながら妄想する。彼女が急に立ち止まって振り向き、笑顔で両腕を私に回してくる。私も彼女をハグする。そして唇を寄せる。熱いひととき。しかし何事も起こらない。つまらない妄想をしているうちに、彼女は足早に、吸い込まれるようにらせん階段を降りてゆく。ついに暗い下方に彼女の姿が見えなくなってしまった。夜がふける。彼女の足音も聞こえない。私は一人でらせん階段を降り続ける。電車の発着音がひびくが、このあたりにプラットホームはない。らせん階段の先には波止場がある。そこから夜の海に船が出る。私はその船に乗らなければならないはずだ。急ごう。船は私を待っている。ドラの音に重なって、彼女が私を呼ぶ声が聞こえた。幻聴だろう。
その他
公開:26/05/31 16:50
更新:26/05/31 17:17
更新:26/05/31 17:17
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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たちばな