根付くもの

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町外れに一本の大きな木がある。
毎日多くの実をつけ、それを食べると誰しもが不思議と陽気になる。

もちろん大人気。だが悪いことも多かった。揉め事が増えたし、その実に溺れて命を落とす者もいた。

誰かの涙が落ちるたびに決まり事が増えていった。食べ過ぎ禁止、仕事中は禁止、年少者は禁止。
食べるのをやめようと声が上がることもあったが、大抵は響くことなく消えいていく。
それが深く根を張ったのは地面だけではなかった。

ある晩、少年が家を発つ。
夜より暗い服を着て、涙で育つ木の元へ。
仇討つために灯火を。
その他
公開:26/05/31 04:21

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