まず話してください

0
1

王都の家には、
夜だけ光る相談水晶が
配られていた。

つらい時は、
まず話してください。

娘は泣きながら言った。

「父に怒鳴られた。
怖かった。
でも、嫌いじゃない」

水晶は青く光った。

安全のため、
保護窓口へ接続します。

窓口の声は、
とてもやさしかった。

言い直す前に、
通話は終わった。

ほどなく、
玄関の結界が開いた。

父は寝巻きのまま、
兵に囲まれた。

娘は首を振った。

「違う。
いつものけんかで」

記録官は、
「嫌いじゃない」の行に
細い線を引いた。

翌朝、
食卓には
父の椅子だけが残った。

娘はもう一度、
水晶に触れた。

相談済
ファンタジー
公開:26/06/03 19:00
更新:26/06/02 20:20

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容