タイミングタイマー

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あと三秒、二、一、ゼロ!
ポケットのタイミングタイマーが震えた。
目の前には気になってる先輩。急な雨に見舞われた駅前、一つの傘。今こそ「僕の傘、入りますか?」と声をかけるベストタイミングのはずだ。
「あの、先輩!」
勇気を出した瞬間、猛スピードで迫ってきたトラックが水溜りを跳ね上げ、僕たちは頭から泥水を浴びてしまった。最悪だ。
泣きそうな僕の前で、先輩がくすっと笑った。
「こんなに泥だらけになったの、いつぶりかな? もしかしたら初めてかも!」
怒ると思った先輩は、見たこともない笑顔を見せている。
その時、タイマーが補足画面に切り替わった。
【傘を差し出すタイミングではありません。彼女のガードが一番下がり、あなたとの距離が縮まるベストタイミングです】
「着替え買わないと。そこのお店でいいかな?」
怪我の功名、いや、タイマーの功名か。
断る理由なんてもちろん皆無。僕は精一杯あかるく返事をした。
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公開:26/05/24 01:39

いちいおと

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。

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