殺人鬼とは、ああいう容姿をしているに違いない
0
1
男は、整ったスーツ姿に不釣り合いな乱れた髪と、人を射抜くような目をしていた。小説家になって十年、何も書けなくなっていた私は、その男に「殺人鬼らしさ」を見出し、観察を始めた。
男は普通だった。出勤し、帰宅する。ただ、肩がぶつかった学生を見る時間、消えた笑顔、背後を気にする仕草――私はその全てを「本性の漏れ」として記録した。
やがて男も私を見るようになった。私は冗談めかして言った。
「あなた、人を殺したことありそうですよね」
男は否定しなかった。
その日から男は変わった。人を見る目が長くなり、何かを抑えるようになった。
数日後、帰り道で男は言った。
「最初は違うと思ってた。でも、そんなにそう見えるなら……そうなのかなって。最近、人を見ると変なこと考えるんです。だから確かめようと思って」
私は確信した。
──殺人鬼とは、ああいう容姿をしているに違いない。
男は普通だった。出勤し、帰宅する。ただ、肩がぶつかった学生を見る時間、消えた笑顔、背後を気にする仕草――私はその全てを「本性の漏れ」として記録した。
やがて男も私を見るようになった。私は冗談めかして言った。
「あなた、人を殺したことありそうですよね」
男は否定しなかった。
その日から男は変わった。人を見る目が長くなり、何かを抑えるようになった。
数日後、帰り道で男は言った。
「最初は違うと思ってた。でも、そんなにそう見えるなら……そうなのかなって。最近、人を見ると変なこと考えるんです。だから確かめようと思って」
私は確信した。
──殺人鬼とは、ああいう容姿をしているに違いない。
その他
公開:26/05/20 02:46
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます
takosan_gandam