キミと生きる:02

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街路樹がしめし合わせたようにいっせいに葉を広げ、五月の陽射しをさえぎる。
アスファルトの上には若葉の隙間から漏れた光が、ゆらゆらと複雑な模様を落としている。
その影の輪郭をなぞるように「キミ」の歩幅に合わせ、一歩、また一歩、踏み抜いていく。

「もっと早く歩かないと季節に置いてかれるよ」

凛とした記憶のあの声が、私の足を動かすたったひとつの原動力。

ひとりのときは、もっとゆるやかだったはずの私のリズム。
「キミ」とのふれあいのなかで、速度は書きかえられてしまった。
速度を落とせば、からだのバランスが崩れてしまうような、そんな怖さ。

もう、この速さを手放せない。

眩しすぎる光のなか「キミ」の速度で「キミ」のいない場所へ向かって、正しく歩き続ける。
キミに恥じることのないように。




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青春
公開:26/05/19 11:01
更新:26/05/19 11:04

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