キミと生きる:01

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五月の光は、残酷なほどに鮮やかで、それでいて瑞々しい。
意識に仲介されずとも、視界へ飛び込んでくるたくさんの緑。
自動ドアが開くとむせ返るようにわっと匂いが流れ込んでくる。

世界はいっせいに、新しい季節へと更新された。

手にしているエコバッグには「キミ」が好きだった人工的なシトラスの洗剤。
ひとりではじまった私の世界に、後からまざり込んできた「キミ」の匂い。

季節が変わっても、私の部屋の空気だけは「キミ」が決めた清潔の枠から、少しもはみ出ることはない。
それは、過去への執着ではなくて…

もうとなりにいないのに「キミ」が好きだったものばかり買い集めてしまう。

それは、いつでもキミが帰ってこられる場所を維持するため。
私にとっての、終わりきれない静謐な作業。




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青春
公開:26/05/19 11:00
更新:26/05/19 11:03

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