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古書店の奥、値札のない棚で、革装の写本を見つけた。
最初の頁は、ただの航海日誌だった。
潮の向き。積荷の数。船員の名前。
読めた。
次の頁には、存在しない港が出てきた。
文字は見知らぬ形をしていたが、内容だけは先に分かった。
三頁目から、行の間が湿っていた。
指で触れると、読めたところから乾いていく。
私は写本を閉じ、紐で縛って棚の奥へ押し込んだ。
その夜、夢の中で頁をめくった。
港の名は読めなかった。
空白の行から、何かが私を呼んだ。
少し違う名だった。
けれど、返事をしそうになった。
翌朝、写本は棚にあった。
開いてもいない。
ただ、まぶたの裏に一行だけ残っていた。
――読解者、人間字相当。
最初の頁は、ただの航海日誌だった。
潮の向き。積荷の数。船員の名前。
読めた。
次の頁には、存在しない港が出てきた。
文字は見知らぬ形をしていたが、内容だけは先に分かった。
三頁目から、行の間が湿っていた。
指で触れると、読めたところから乾いていく。
私は写本を閉じ、紐で縛って棚の奥へ押し込んだ。
その夜、夢の中で頁をめくった。
港の名は読めなかった。
空白の行から、何かが私を呼んだ。
少し違う名だった。
けれど、返事をしそうになった。
翌朝、写本は棚にあった。
開いてもいない。
ただ、まぶたの裏に一行だけ残っていた。
――読解者、人間字相当。
ホラー
公開:26/05/12 21:00
更新:26/05/12 05:03
更新:26/05/12 05:03
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