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すでに​一週間、妻と口をきいていない。ため息を落としてリビングに向かったら、リビングの真ん中に「赤い縄」が浮いていた。
​端をつかむと、縄は廊下を抜け、玄関の隙間を通って外へと伸びている。不気味だが、この先になにがあるのか確かめずにはいられなかった。僕は縄を手繰るようにして家を出た。
​縄は街を抜け、坂を登り、僕たち夫婦が昔よく通った公園へと続いていた。
「……え?」
縄の終点。木陰のベンチに座り、同じように赤い縄を手にした妻がいた。
​「あ……」
視線がぶつかる。彼女の手元にも、僕の持つ縄の反対側が握られていた。どうやらお互いが「この先に何があるのか」と引っぱり合っていたらしい。
「……なによ、その顔」
久しぶりに聞いた声に、張り詰めていた気持ちがゆるむ。
​「いや、君がいるとは思わなくて」
それにしてもなんて丈夫そうな縄なのだろうか。苦笑いして隣に座ると、縄はさらりと砂のように消えた。
ファンタジー
公開:26/05/11 22:19

いちいおと

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。

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