新緑の頃には花嵐を干して

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洗いたてのまだ皺くちゃな花嵐をベランダで思い切りゴォゴォ広げると、桜の花弁がひらり、ひらりと飛沫をあげる。

お日さまの笑顔が「爆笑」ではなく「にっこり」くらいな季節の内に花嵐は洗濯して干しておかなければ、風が固くなって木枯らしになってしまうから注意が必要だ。

あやすように枯れ枝みたいな皺の一つ一つを丁寧に伸ばして優しく広げ、ビュウビュウと叫ぶ花嵐を竿竹にかけてから青空へ柔らかに線を引く肌触りのよさそうなすじ雲を眺めている時、私の心はいつも凪いでいる。

爛漫と咲く桜へ無邪気にじゃれつき、毎年幾枚もの花弁と共に薄桃色に染まるまで駆け回り、春までまるごと連れ帰ってきてしまう花嵐。

春光や土埃を鱈腹飲み込み膨れあがった花嵐を透明になるまで水で濯ぎ、薫風で柔らかく乾かして桜の花弁と走り回れるくらいに身軽になったら綺麗に畳み、春霞の抽斗に閉まってある春一番の上に重ねたら、来年の春を待つだけだ。
公開:26/05/11 21:30
あ、お、あ、ら、し、で作文 風の種類ってたくさんある!

ネモフィラの旅人( 風の向くまま )

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