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「さすが善さん!」
虫食いの穴まで寸分違わず型抜かれた薄緑色の透明な板を日に翳し、じぃじはちょっぴり毛の少ない頭を搔いて笑った。
「あったりめぇよ!」
鬱蒼とした森に射す極細の木漏れ日で作られた爪陽枝で五月雨の如く空を突く振りをしてから、善さんも笑った。
…懐かしいな。
久々の里帰り。あの頃と変わらずそこにある街路樹を見て、思い出が一気に溢れ出す。
繁る葉の一枚一枚が煌めく頃、祖父は毎年《新緑の型抜き屋》なる店を開いた。
五月のよく晴れた日、空が柔らかく輝くのは薄荷味の陽光がりんご飴みたいに空をコーティングしているからだ。雲一つない青空を覆う板の様な陽光を、くっきりとした新緑の木々の輪郭に合わせ、爪陽枝で抜いて遊ぶのが新緑の型抜きだ。口に入れると薫風の広がる淡い緑色の陽光は私の大好物だった。
祖父達の笑顔はもうここにない。
新緑の型抜きができるような広い空も緑もだいぶ減った。
虫食いの穴まで寸分違わず型抜かれた薄緑色の透明な板を日に翳し、じぃじはちょっぴり毛の少ない頭を搔いて笑った。
「あったりめぇよ!」
鬱蒼とした森に射す極細の木漏れ日で作られた爪陽枝で五月雨の如く空を突く振りをしてから、善さんも笑った。
…懐かしいな。
久々の里帰り。あの頃と変わらずそこにある街路樹を見て、思い出が一気に溢れ出す。
繁る葉の一枚一枚が煌めく頃、祖父は毎年《新緑の型抜き屋》なる店を開いた。
五月のよく晴れた日、空が柔らかく輝くのは薄荷味の陽光がりんご飴みたいに空をコーティングしているからだ。雲一つない青空を覆う板の様な陽光を、くっきりとした新緑の木々の輪郭に合わせ、爪陽枝で抜いて遊ぶのが新緑の型抜きだ。口に入れると薫風の広がる淡い緑色の陽光は私の大好物だった。
祖父達の笑顔はもうここにない。
新緑の型抜きができるような広い空も緑もだいぶ減った。
公開:26/05/10 09:48
更新:26/05/10 10:02
更新:26/05/10 10:02
新緑の輪郭があんなに
くっきりしているのは
何故なんだろ?
旅人なのでいたりいなかったりします
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ネモフィラの旅人