新緑の型抜き屋

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雲一つない青空、爽やかな風。
軽やかに枝を伸ばし、揚々と葉を茂らせる木々は眩しいくらいに輝いて……私の心を更に重くさせた。だって…なんだか季節にまで置いていかれた様な気がして、寂しくなってしまったから。

父の仕事の都合で引っ越しする事になり、4月から新しい学校へ転入した。
見慣れぬ校舎、知らない顔ばかりの教室。優しく話しかけてくれる人もいるけれど、元々引っ込み思案な私は上手くそれに応える事ができなくて、ゴールデンウィークが明けた今日も、一人ぼっちの帰り道。

去年の今頃は友達と寄り道して四つ葉のクローバー探したんだっけな……。

「そこのお嬢さん♪新緑型抜きやってみない?1回100円っ!」

いつからそこにいたのだろう?
私を仲間外れにする五月の眩しい風景がどんどん滲んでいくのを止める様に、クリームソーダみたいな色の甚平を着た陽気なおじさんが、一際眩しい新緑の街路樹の下で声をかけてきた。
公開:26/05/08 23:29
リレー小説①

ネモフィラの旅人( 風の向くまま )

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