巨匠が言うからやってみた

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自称ショートショート作家の男が、パソコンの前で固まった。

「なんだ……この世界は。異世界、転生、魔法、ファンタジーばかりだ」

その時、微かに声が聞こえた。

「お前も、書いてみるがいい」

「その声は……星先生、筒井先生ですか?」

「パステルカラーな世界を書くのだ」

男は指を走らせた。


ある日の午後。

道路脇で、婆さんが杖を大きく振っていた。

かすれた声で呟きながら、ふらふらと歩いている。

「ん……魔法の杖か?」

そこへ、車が止まった。

出てきた女は、慣れた様子で駆け寄った。

「義母さん、帰りましょ」

婆さんは手を引かれ、小さく笑った。

その様子を見ていた男が、スマホにメモを書き込む。

『異世界転移寸前』

男はホッとした顔で、その場を立ち去った。
おわり
その他
公開:26/05/08 22:25
寓話 ズレ ブラック 風刺 作家

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