フリフリ

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散歩に出ると、すれ違う人がよく足を止める。
「可愛い」と言って、しゃがみこむ。ワンコのレイちゃんは尻尾を振りながら、その手に顔を寄せる。桜色のフリフリドレスに白いレース。その格好でフリフリ歩く姿は、どこから見ても可愛い。そう思っているのは自分だけではないらしい、と男は密かに満足する。
ふと、思い出した。
長女が小さかった頃、同じことをしていた。フリフリの服を着せて、ヨタヨタ歩く姿を、ただ見ていたかった。どこかに行きたかったわけではない。一緒に外に出たかった、それだけだった。
今、レイちゃんが着ているフリフリの服は、その長女のブランドの試作品だ。
娘が作ったものを、レイちゃんが着ている。
子供の頃の記憶は、ずっと残るのかもしれない。形を変えて、どこかに染みついて、何十年も後に、こんなふうに出てくる。
レイちゃんが振り返る。早く行こう、と言うように、尻尾を振っている。
その他
公開:26/05/11 13:39

トスシア( 京都市 )

京都市在住
noteを中心にショートショートを書いてます

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