持続可能な祈り

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癒しの神殿から、
元巡礼者へ
銀の封書が届いた。

封には、
「選ばれし者へ」とある。

セウゴは開けなかった。

「まだ来るんだな」

タカシが覗く。

「金貨五十七枚?
祈る側じゃなくて、
祈らせる側の値段だろ」

廊下の影で、
ワイゴが笑った。

「いいねタカシ君。
救われた人ほど、
次の扉を開けたがる」

封の神殿印には、
新しい住所印が重ねて押されていた。
紙は昔より薄い。

中には、
癒し手免状の申請書。

志。
使命。
地方説法。
初回導入話。

最後の欄だけ、
少し広かった。

セウゴの指が止まる。

「救われた話まで、
欄に入るのか」

ワイゴは、
申請書を机に戻した。

「空欄では、
伝わりませんから」

但し書きは、
虫眼鏡ほどの字だった。

※巡礼時の体験談は、
説法素材として使用可。

タカシは黙った。

封の裏を見ると、
古い神殿名だけが
きれいに削られていた。
ファンタジー
公開:26/05/06 07:00
更新:26/05/06 06:11

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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