『トラム』『雷』『蜂』

0
1

突然の落雷でトラムが止まった。軌道脇の電柱に建立された蜂の巣への稲妻の一撃で煙ついた巣には難を免れた蜂が戻り始めていた。自然の力はすごいものでそれを予知して、蜂達はすんでのところで一斉に巣から飛び出して避難したのか。
可哀そうだが不運な逃げ遅れの姿焼きは帰還兵の食事とならざるを得ないのかな?
などと不謹慎に車窓越しの蜂の巣に目をやっていた。
突然の「只今、雷の影響で…」のアナウンスも中断、すると、トラムのドアというドアが一斉に開く、それが合図とばかりに大勢が一斉に信じられないスピードで飛び出した。
そんな目の前の光景を尻目に場違いな想念が頭に浮かんだ。
「今日の俺の蟹座は12位だったな」
次の瞬間、猛烈な破裂音とともに視界全体が強烈な真っ白い光に覆われてブラウン管テレビのコンセントが引き抜かれたように視野の中心へ白い光の点が収束して消えて真っ暗になった。
ホラー
公開:26/05/06 02:38

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容