ルーティン

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信号機のない交差点。
週に一度、半透明の女が立っている。
「やばい、目が合った」
ルームミラーを覗くと、後部座席に静かに座っていた。
「まぁいい。いずれ消える」
しばらく走ると、女は消えた。
次の木曜日。
いつの間にか、座っている。
「おでこが少し赤い……?」
女はうつむき、前髪で隠した。
それから、週に一度の決まり事になった。
ある木曜日の朝、寝坊した。
「いない……」
すると、歩道で足を引きずる女を見つけた。
クラクションを鳴らし、車を左に寄せる。
「遅くなってごめん……」
「大丈夫」
女は外の景色を眺めている。
ミラー越しの顔は、どこか寂しい。
次の木曜日。女が消えた後、辺りを探した。
「どこだ……」
その時、スーパーの前から大きな声。
「皆さま、半額セールまで、もうしばらくお待ちください」
最前列に、カゴを持った女が並んでいた。
おわり
その他
公開:26/05/05 16:44
寓話 ズレ ブラック 風刺 幽霊

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