野乃と「のの」

0
1

朝の支度の、その衣擦れの音に「のの」が目を覚ます

パンをこんがり焼いて、小麦の香りを強くたたせ、パンには何もつけないで

何もつけないのがいい、それがいい

 コイツ、何もつけないでたべたぞ

そういった顔を「のの」にされる

 いいの、いいの、これでいいの

そういった顔で、私は返す

マジメに向き合ったとしても
向こうが真剣に応じてくれるとは限らない
なんか、馬鹿みたいね
あくまで一般論として

魔法つかいからの報酬は、ひとびんの炭酸
黒の魔法つかいがつくる真っ黒い炭酸
貴重なその炭酸で、口のなかに残るパンの香りを流していく

炭酸が口のなかで気持ちよくはじける
ほうきにのった魔法つかいが
私の口のなかを飛びまわっているみたい

それがおかしくって、ふふふ、笑みがこぼれちゃう

それを「のの」が、不思議そうに見ている




.
その他
公開:26/05/08 07:57

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容