夏の日の出来事

隆が彼女にフラれて１週間。連絡が取れなくなり、心配になった俺は隆の家までやって来た。
ドアを開ける。隆は真っ白になっていた。
完全な抜け殻だ。俺の呼びかけにも答えず、その体がべちゃりと床に倒れる。
背中には大きな割れ目。隆はもう駄目だ…
「YO！どうしたんだ！」
真っ黒に日焼けした隆が俺の後ろに立っていた。
「お前が心配で様子見に来たんだ」
俺の言葉に隆は笑う。
「心配無YO！夏が俺に新たな恋をせよと言っているんだ！」
そう言って部屋を飛び回る隆。
これなら大丈夫そうだな。俺は思い切って言うことにする。
「俺、今ユキちゃんと付き合っている」
ユキとは隆の別れた彼女だ。
それを聞いて動きを止める隆。俺に恐ろしい勢いで迫るとギャァギャァと騒ぎ立てる。
その上、床をのたうち回ったと思うと白目をむいて動かなくなった。
俺らは脱皮をすると１週間しか生きられない。
俺は脱皮を先延ばしにすることにした。