肉欲と生存欲

よくある話だ。酒に酔った俺らは興味本位で心霊スポットに向かった。
その場所は自殺の名所として有名で立ち入りが禁止されている。
だが、酒に酔った俺らは気にせず中に入った。
ボロボロに荒れ果てた屋内。そんな中、一人の女が泣いていた。
その体つきは瑞々しく、噎せ返る程の色香に俺達は一瞬で魅了された。
俺らは酔った勢いもあって女に襲い掛かった。
しかし俺らの手は女をすり抜けた。
「お願いです…私を抱いてください…」
俺らを見上げ懇願する女。
「私のために死んでくれませんか？死ねば、私を好きにできます」
友人の一人が笑いながらナイフで自分の首を切った。
友人の一人が度数の高い酒を浴び自ら火をつけた。
その光景を見て、俺は一人酔いが醒めた。
「さあ…あなたも…」
俺は怖くなって逃げ出した。
翌日、自殺の名所で新たな死体が見つかった。
そして俺は知る。あの女が何人もの男を殺した殺人犯だったということに。