コンコン

コンコン

毎朝早い時刻に、私の家の扉をノクする奴がいた。うるさい、迷惑だ。いつかこの馬鹿に仕返してやる。
しかしある日、いつにもまして疲れて帰った私は、自分の家なのにノックをしてしまう。

ドンドン

毎朝のコンコンという音は玄関の扉からは鳴らなかったのだ。
では、あの音はどこから？
私は探らずにはいられなかった。

風呂の扉 バンバン
トイレの扉 トントン
部屋の扉 コツコツ
食器棚の扉 コンコン

音の出所を見つけた！
しかも、私が扉を叩けばコンコンと中から叩き返してくる。
私はわくわくしながら扉を開け中を覗く。だが食器以外は何もない。
野郎、隠れやがったな。
むしゃくしゃした私は木やら釘やらを使って、扉が開かないようにしてやった。

以降、コンコンという音は聞こえなくなり、代わりにガタガタガタッと音がするようになった。出られないからだろう。
仕返しが出来たようで、私は満足している。