北オーストリアの農家
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黄色と緑が好きだった。
だから「北オーストリアの農家」だった。
この場所は、木々や草花が揺らめき、僕を自然の中に解き放ってくれるのだ。
目を閉じる、それだけで目前に光景が、広がっていく。
僕は名も知らぬ白い服を纏った少女と草花の中を駆け巡り、木の上に乗って木の実を
齧る。味は甘すっぱい柑橘系で二人で微笑む。
突然、どこからか声が聞こえる。
「違う、こんなの私が望んだものじゃない」
その声はどこか愛しさと残酷さを感じさせ、僕も彼女も怯えた。
「私、怖い、怖いよ」
ふるえきった彼女を僕は抱きしめる。
僕の世界は、景色は、赤くなり緑になり白くなり、
抱きしめていた彼女までもが白くなり、僕も気が付けば白くなっていた。
あの声がまたやってきた。
「ここに人なんていらないんだ」
一瞬で、なんでか僕はいなくなることがわかった。
ありがとう、少女と出会わせてくれて。ありがとう、僕らの神様。
だから「北オーストリアの農家」だった。
この場所は、木々や草花が揺らめき、僕を自然の中に解き放ってくれるのだ。
目を閉じる、それだけで目前に光景が、広がっていく。
僕は名も知らぬ白い服を纏った少女と草花の中を駆け巡り、木の上に乗って木の実を
齧る。味は甘すっぱい柑橘系で二人で微笑む。
突然、どこからか声が聞こえる。
「違う、こんなの私が望んだものじゃない」
その声はどこか愛しさと残酷さを感じさせ、僕も彼女も怯えた。
「私、怖い、怖いよ」
ふるえきった彼女を僕は抱きしめる。
僕の世界は、景色は、赤くなり緑になり白くなり、
抱きしめていた彼女までもが白くなり、僕も気が付けば白くなっていた。
あの声がまたやってきた。
「ここに人なんていらないんだ」
一瞬で、なんでか僕はいなくなることがわかった。
ありがとう、少女と出会わせてくれて。ありがとう、僕らの神様。
青春
公開:18/07/25 20:32
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