幻想動物見聞録・沙彩の場合

猫のミイちゃん、動かなくなったんだ。その時の話だよ？私、びっくりしたの。ミイちゃんから、小さな芽が出てた。耳のこの辺から。だからママに言ったんだけど、ミイちゃんはもうお休みしてあげようねって、お庭に埋めちゃった。よく私分からなくて、掘り起こしたら芽が出てきた。それがミイちゃんのような気がして、私は安心した。それから、夏が来て秋が来て、ミイちゃんひまわりみたいに大きく伸びてった。でも私以外見えないみたい。そのうち、雪が降り出してきた。私、かまくら作るフリして守ってあげた。ミイちゃんは寒がりだった。まだここにいるんだから、私が守らなきゃ。それから春が来て、私は新しい友達ができた。お庭のミイちゃんは、大きな白い花を咲かせたよ。それが白い蝶になって、はじけて桜の花びらの中ヒラヒラ飛んでっちゃった。
ミイちゃんはできるだけ私のそばにいてくれたのかな？でも先生、私はまだ寂しい。ミイちゃんに会いたいよ。