涙の足は速い

涙は身に溜めたストレスを洗い流してくれる
内側から溢れ出るように
止まる事を知らない

涙はなるべく早く主人の元を離れようとする
主人も涙を手で拭い、ハンカチを手にする
周囲の人も涙を主人の元から離そうとする

一人でどれだけ泣いていても
いつかは枯れる
流れるものはいつか無くなり目は乾く
涙の足は速い

それは涙が優しいのか
ただ青魚のように止まっていられないのか

涙の足は速い
速いから人はまた立ち上がれるのだと思う

拭った手から蒸発して
世界を漂う
いつしか誰かの涙になるために
必要な人の元へと駆けつけるためにも
涙の足は速かった