その水が飲みたい

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体育の授業が終わった。喉がすごく渇いている。
僕は水を飲みたかったのだが、水道には行列ができていて、すぐに飲めそうにない。
僕は一旦諦めて、教室で少し待つことにした。
「暑そうだね」
隣の席の島田さんが声を掛けてきた。
「体育だったからね。島田さんは大丈夫なの?」
「体育館だったから、私は大丈夫」
「体育館でも暑くない?」
「私、運動神経あんまり良くないから、動けないんだよう。だから、大して汗もかかないし」
「そうなんだ。いいなあ」
「すごい汗だね。ちゃんと水分摂った?」
「水道がすごい並んでいたから、まだ」
「じゃあ、私の飲みかけで良いなら、あげるよ」
「え、悪いよ」
島田さんの飲みかけ……。飲みたい。でも……。
「ええい、いいから飲みなさい」
島田さんはペットボトルのキャップを外して、僕の口に無理矢理押し付けた。
ゴクゴクッ。
僕は液体を飲み込んだ。
島田さんの温もりを感じた気がした。
青春
公開:18/07/25 00:59

undoodnu( カントー地方 )

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