十歳と十三歳の姉妹
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私はこの家に招かれている。屋内に入ると騙し絵のような空間が曲芸をしている。吹き抜けを見下ろす廊下の突き当りには、障子の腰窓があって、内側には木のベッドが三つ並んでいる。腰を屈めて首を差し入れ、直角に捻ると、その部屋の突き当たりの壁には、やはり障子の腰窓があって、内側には木のベッドが並んでいるのが見える。首を抜き出して目の前の壁を撫でてみるが、入り口らしきものは見当たらない。当惑して、吹き抜けを見下ろすと、遠くに白く光る細い筋が見えた。あれは、川だろうと思う。
再び階段の上り口まで戻ると、突然に、廊下が奥へとのびていて、左手から、家族の団欒が漂ってくる。私は遅れた詫びを言いながら、その団欒に加わる。主人も奥方も見えない。ただそこには、十歳と十三歳の姉妹がいて、豆のスープを飲んでいる。
再び階段の上り口まで戻ると、突然に、廊下が奥へとのびていて、左手から、家族の団欒が漂ってくる。私は遅れた詫びを言いながら、その団欒に加わる。主人も奥方も見えない。ただそこには、十歳と十三歳の姉妹がいて、豆のスープを飲んでいる。
ファンタジー
公開:18/07/24 22:08
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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