黄色い花が満開になったら

0
53

 ここは北オーストリアの小さな農家。
家の周りには黄色い花が咲き、もうすぐ満開になろうとしていました。

質素な家の中は暖炉が焚かれ、ご馳走の並んだテーブルの前には男の子と両親が座っていました。

「わー、このスープおいしいね。サラダもアイスクリームも。」
サーシャは、うれしくて一気に食べました。
「ほらほら、よだれが出てますよ。」
お母さんはやさしく拭いてやりました。
「サーシャ、たくさんお食べ。今日が最後だからね。」
お父さんが言いました。
「パパ。どうしても明日じゃないといけないの?」
「そうだよ。神様との約束だからね。春になって黄色い花が満開になるまで、っていう。」
「ぼく、このままがいい。」
「だめだ。約束を破ると罰が当たるんだよ。」

 翌朝、家の中には誰もいませんでした。
家の前には親子の牛が3頭、よだれを垂らしながら草を食べていました。

黄色い花は満開になっていました。
ファンタジー
公開:18/07/22 06:41
更新:18/08/29 17:01

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容