夏祭りの思い出

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父「いいか、裕、歩道橋は特に人が密集して危ないから、決して手を放すんじゃないぞ。もし、万が一はぐれたら、慌てずに歩道橋を降りるんだ。降りたところも危険だからそのまま少し歩いたタバコ屋の前で待ってろ、必ず迎えに行くから。次に、屋台通り(略)、それから花火が始まった直後(略)、最大の見せ場仕掛け花火が(略)」

深夜2時。もうこれで35回目の迷子シミュレーションだ。明日の夜に行く夏祭りで迷子にならないための注意事項と、万が一はぐれた場合の避難先を何度も何度も何度も何(略)。もう、いい加減寝たい。僕は朝からラジオ体操に行かなくちゃならないんだから。

父「裕、起きろ、歩道橋はおんぶじゃ危ないから、おい、起きろ、まったくこれからって時に熟睡しやがって」
父「裕、起きろ、おい、屋台だぞ、たこ焼きあるぞ」
父「おい、裕、花火始まったぞ」
父「裕、仕掛け花火(略)」

こうして僕の夏祭りは終わった。
その他
公開:18/07/21 11:09
スクー 徹夜で準備する迷子

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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