皮肉

お前の頭の中にはお花畑でも咲いているんじゃないのか
父親にそんな皮肉を言われ、クリムトは無性に腹が立った
だから、父親を見返すためにこの絵を書いた
父親は、クリムトの描いた絵を見てこう言った
やっとお前も芽が出たか。まあ、私の足元には及ばないけどね
クリムトも負けず、こう言い返した
いいえ、私の作品は昔から花開いていましたよ。きっと、老眼のせいであなたは見えなかったのでしょう。それに比べ、あなたの作品は齢を追うごとに枯れていきますね
父親は負けずこう言い返した
いやいや、私の作品は彫刻だからね。人の粗を掘るのが仕事なのだよ。
お前の体だって私が作ったんだ。その証拠にお前の顔は彫りが深いだろ

あの親子またやっているわ
気にする事は無いわよ。いつもの事だから
でも、あの父親、お金持ちなんでしょ
ええ、そうよ。多分、あの父親が死んだのを皮切りに親族同士で骨肉の争いが起こるでしょうね
皮肉な物ね