変身

「見てよザムザ。あの店ハエが集っているよ」
「あの店だけじゃないよカフカ。向こうの店にも、絶景で有名な観光地にも今は蠅が集っているよ」
「あの蠅、インスタ蠅っていうんだっけ。『いいね』を集めることが生きがいの変な虫」
「ああそうさ。あの蠅は他人の評価を何より気にする。だからインスタ映えするものを見つけるとすぐに飛んで行って、あんな風に集るのさ」
「自主性のない蠅だね。自分自身はいいねと思っているのかな？」
「そんなのインスタ蠅は気にしていないさ。だってあれは人間から蠅に変わってしまっても気にしていないんだから。周りの人間だって、人間がインスタ蠅になっても気付いていないようだしね」
「人間って鈍感な生き物だね。ザムザ」
「ああ、だから僕らのようなインフルエンサーナダ虫に寄生されていても気づかない。インスタ蠅にはこれからも僕らインフルエンサーナダ虫の奴隷として頑張ってもらおうよ。カフカ」