退行動物園

その動物園は、今日も大行列の賑わいだった。
それというのもその動物園では、毎日のように動物の銀ちゃんが誕生しているからである。
豊かに栄養を蓄えた大地から産まれる銀ちゃんは慈しみ深く穏やかで、とても可愛らしいと大人気だ。
ヨボヨボで産まれる銀ちゃんは毛が白く、足腰があまり強くないため、のっそりと動いてはよく眠る。人々はそんな銀ちゃんの仕草を写真や動画にとっては、黄色い声を上げていた。
銀ちゃんだった動物たちはよく食べよく寝て成長を続け、背中もしゃんと伸びた大人になった頃には活発に動き回るようになる。
そうして成長を続けた動物たちは、どんどんどんどんどんどんと、小さく小さくなっていくのだ。

ある日のこと、史上最高齢のおベビちゃん亀が、飼育員たちに見守られ静かに息を引き取った。
かなりの歳だった亀はぴかぴかの卵の姿で最期の時を向かえ、それは抱かれるように大切に、産みの大地へと返されたという。