一期一会
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午前6時半。お茶に入れるハーブを摘んでいたときだ。蕾がついたタイムに手を伸ばす。すると、「取らないで。」と声が聞こえた。
見ると、黄色のカタバミで身を包んだ、親指ほどの背丈の男の子がいた。「それ今日咲く花なんだ。それをあの子に、告白する時にあげるんだ。」
男の子はきらきら光る瞳で、懸命に私に訴えた。
「どうしてこの花なの?」私は思わず聞いた。
「僕たちが出会った場所に咲いてたの。覚えているのは僕だけかもしれないけど、それでもこの花をあげたいって思って、咲いたら告白しようって待ってたんだ。だからこれだけはダメ。」
「分かった。」私は答えた。
男の子はにっこりと笑い、ありがとうと言った。
「見てて、今に咲くから。」男の子がくるくるとダンスをすると、花は見る間に咲いた。素早く摘み取り、その子は姿を消した。
後にも先にも私がその子を見たのはその一度きり。告白は上手くいっただろうか。
見ると、黄色のカタバミで身を包んだ、親指ほどの背丈の男の子がいた。「それ今日咲く花なんだ。それをあの子に、告白する時にあげるんだ。」
男の子はきらきら光る瞳で、懸命に私に訴えた。
「どうしてこの花なの?」私は思わず聞いた。
「僕たちが出会った場所に咲いてたの。覚えているのは僕だけかもしれないけど、それでもこの花をあげたいって思って、咲いたら告白しようって待ってたんだ。だからこれだけはダメ。」
「分かった。」私は答えた。
男の子はにっこりと笑い、ありがとうと言った。
「見てて、今に咲くから。」男の子がくるくるとダンスをすると、花は見る間に咲いた。素早く摘み取り、その子は姿を消した。
後にも先にも私がその子を見たのはその一度きり。告白は上手くいっただろうか。
ファンタジー
公開:18/07/20 00:09
自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。
110.泡顔
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