オーストリアの素敵な家

美術館である絵画の前で足が止まった。
深い森の中、色々の花の中に佇む一軒の家。
さわさわという風そよぐ音色が聞こえてきた。ふわりと花の香りを届けてくれる。穏やかな天気のなか、暖かく降り注ぐ太陽が心地よい。
オーストリア、いったことはないが、ここでの生活は穏やかで、ゆっくりしていて、とても気持ち良さそうだ。オーストリア、どんな作物がとれるのだろう、ここでの農家生活は悪くないものだろう…未だ見ぬ異国の地に思いをはせる。

ふと気がつくと私の横に老人が一人立っていた。
素敵な家でしょう、自慢の家です。よく見ると老人のズボンの裾に黄色い花弁がひとひら。
中はきっと素敵なおうちなんでしょうね、愉快な気持ちになって老人に尋ねた。

老人は少し笑って言った。
「中は純和風、味のある和室があるんです」