寝不足の天井

木々の合間から見える一軒の家。
その家は、外観が素晴らしいのだが、ただそれだけの家ではなかった。
外から見るとよくわからないが、一歩中に足を踏み入れると、その異常性がよくわかる。天井にクマができているのだ。
この周囲は自然が多く、夜中に虫の声が凄くする。
天井は長年、穏やかな眠りにつくことができていなかった。クマもできよう。
家の持ち主もまた、クマが気になって寝不足になっていた。
このままでは健康に良くない。家の持ち主は家の改築を決意した。
クマもろとも天井と屋根を取っ払うことにし、新しく造り直すことにしたのである。

その後、とある画家がこの家の絵を描こうとしたのだが、良い色合いの家に対して、屋根が無骨過ぎる。この緑豊かな景色に家全体が映えない。
画家は困った。
家の持ち主に屋根をどうにかしてくれと頼んだが、却下された。
画家は諦めて、家の屋根が隠れる二本の木の間から絵を描くことにした。