「北オーストリアの農家」

ある年、『北オーストリアの農家』という世界的な名画に触発された私は生涯初の海外旅行へ出掛けた。
「着いたー！　北オースト……ラリアー！」
そう、何をどう間違えたのか北オーストリアに行くはずが北オーストラリアに来てしまったのだ。
いやぁ、困った。どうしたものか、と考える。考える、考える、考えるー。閃いた！
「カンガルーを見に行こう！」
間違ってしまったものは仕方がない。こうなれば北オーストラリアを謳歌するしかない！
本書の著者である楠田・Ｆ・クリムとカンガルーを巡る北オーストラリアでの壮大な冒険譚、開幕！
──『北オーストラリアの謳歌』より冒頭部抜粋。


そこまで打ち込むと、私は薄青のノートパソコンを閉じた。さて、この書評どう書けば良いのやら。
某製菓メーカーからいただいた試食品、栗味のポテトチップス『クリムーチョ』を頬張り「この本は面白い。イエスか、ノーか。……ノー、か」と自問自答した。