牛舎の日常

その農場は小高い丘の上に建っております
辺り一面には黄色く色づいた菜の花が咲き乱れ、その隙間を埋める様に老齢の白樺ががっしりと大地を掴み、根付いております。枝葉は天高く伸び広がり、森の小動物たちに無償で木陰を提供している様です
おやっ、誰かが来た様ですね。ちょっと様子を見てみましょう

ほら、見てご覧。あれが今日からお前が暮らす家だよ
すまないねぇ。うちにはお前を育てて行くだけのお金が無いんだ
お金が工面出来たら絶対に引き取りに来るからね。じっと我慢して待ってておくれ
分かったわ
本当にすまないねぇ。きっと、きっと、迎えに来るから

おやおや、新人が入ってきた様だよ。ちょっと揶揄ってやろうかね
今日からお世話になります。花子です
まあ、花子ですって。道理でダサい服だと思ったわ
神戸から来ましたの
えっ、まあ、道理で素敵なお召し物だと思いましたわ。白と黒のデザインが最高
もう、お世辞は結構よ