図書館の主

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この町の図書館は森の中にある。
重要な資料が海風で痛むのを防ぐためらしい。

「館長さん久しぶり!」
「あぁ、アヤメちゃん久しぶりもう中学生かい? 身長伸びたね」
「アヤメはひいおばあちゃん。私はワカバだよ」
「そっか、ワカバちゃんか。うん、楽しみだね」

おろしたてのセーラー服を着て行けばひいおばあちゃんに間違えられてしまった。館長さん、見た目は老けていないのに中身はボケはじめているのだから、この先が心配だ。

「ねぇ、館長さん。そこの扉の奥って見ちゃダメなの?」
「ダメだよ、向こうの本は神さま本だから」
「でも、この町の歴史の本なんでしょ? お母さん言ってたよ」
「そうだねぇ、この町の記憶の本だけど神さまものだから見ちゃいけないんだ」

館長さんは笑って私をたしなめるけど、私は知っている。館長さんがあの中の本をこっそり読んでいることを。
ファンタジー
公開:18/07/14 22:35
更新:19/02/28 16:06

ふみ はじめ

最近とても困っていることはハンバーガーを上手に食べることができない事です。

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