絵画ドレス

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私はオーダーメイドの服屋をしている。客には、絵画を持ってきてもらい、その絵を基にイメージした服を作る。

今日の客が持って来たのは、クリムトの「北オーストリアの農家」。黄色、白、ピンクといった花が印象的な絵だ。私は早速イメージを膨らませドレスをデザインした。

そして仮縫いの試着日。存分に絵の雰囲気を出せていると思っていたが、客の顔が曇っている。
「家は?」
「家?」
「ええ、家。これがあってこそ、この絵は成り立つのに」

それからが戦いだった。私は何度もデザインをし直し、試着をしてもらった。しかし、どうしても客のイメージと合わない。

最後に私は、最初に作った服をもう一度試着してもらった。
「これじゃあ…」
言いかけた客の言葉を遮り、客の体にボディペイントをした。顔から首にかけて家を書いたのだ。
幻想的な模様の服から、ボディペイントの家がのぞいている。

鏡の中で家が満足そうに微笑んだ。
その他
公開:18/07/14 10:39
更新:18/07/14 12:08

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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