46. 解せぬ。

コンコンッ
ドアを叩く音がする。
「今回のコンテストの応募作品が全て揃いました！
翻訳をしましたので先生にも目を通して頂きたく…」
弟子でもありスタッフをしている者がそう声をかけてきた。

今、日本では私の作品『北オーストリアの農家』を題材とした400字の小説のコンテストを開催しているという。

あぁ私の名前はクリムト。
そう本人である。
私はクローン3体めで元々の私の才能を買ってくれていたオーストリア政府が最初の私が死ぬ前にDNAを取りだしクローンの作製をしていたのだ。
お蔭で2018年現在もここオーストリアで生きている。

この絵について様々な考察をしてくれていて嬉しいのだがどれもこれも私の気持ちを理解出来てない。
深読みしすぎているのだ。

私はただ当時住んでいた家を描いたのだ。
それに今もこの場所に新しいアトリエ兼家を建てて住んでいる。

だからこの場所を詮索するのは止めて欲しい。