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「パパ。今日も、お外ではお花が咲いているの?」
「ああ。赤や黄色や白、青いお花も咲いているよ」
 物心ついた時から目が見えないわたしには、そういった色は想像しかできないけれど、とってもきれいなんだろうな、と思う。その花々に囲まれた小さな家。それがわたしとパパが暮らす家だ。
「あーあ、わたしも目が見えたらいいのに」
「悲しいことを言わないでおくれ。私は目が見えないことで自分が不幸だ、と君に思ってほしくないんだ。不幸とは、自分が不幸だと思っている状態のことなんだから」
 いいかい、とパパは言う。
「ゼッタイニ、メガミエタライイナンテ、オモウンジャナイヨ?」
 こういう口調の時のパパは、ちょっと怖いな、と思いながら、わたしは素直にうなずいた。
「さあ、もうおやすみ」
 パパにうながされて目を閉じる。その日の夢にも、花々に囲まれた小さな家が出てきたが、それらの色はどこか曖昧で、ぼんやりとしていた。
ホラー
公開:18/07/15 09:04

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