青い鳥の死

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何処までも続く、砂また砂。
男は人語を操るツイッターという青い鳥とともに、広大なネットの砂漠をおしゃべりをしながら楽しく旅していた。

何日も何日も旅を続けるうち、男はふと青い鳥の羽の下にある年齢設定ボタンに目が留まった。
「そういえばこの鳥を購入するとき、店主に自分の年齢を打ち込むように言われたんだっけ?」
男はもともと不注意な性格の持ち主であり、あまり説明書も読まないという人間であったが、さらにこの日は酒が入っていたこともわざわいした。
鳥がなにやら騒いでいたような気もしたが──ほんの気まぐれから、生年月日の設定を生まれたての赤ん坊に変更してみた。

とその瞬間、ツイッター鳥の青色が灰色へと変わり、完全に沈黙した。
ああ、なんたること。
男がいままで築き上げてきた青い鳥との楽しい思い出が、一瞬のうちに無残にも凍結された。
この鳥は13才以下の人間の所持を固く禁じていたのであった──。
ファンタジー
公開:18/07/15 03:12
更新:18/09/17 16:34

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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