幻降用紙

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「『お客さま、そうです、あなた様です。
いやー、お客さまにご紹介したいものがありましてね。
こちら、当社が開発いたしました“幻降用紙”でございます。いえいえ、“原稿用紙”ではございません。幻が降ると書きまして、“幻降用紙”でございます。
この幻降用紙にお好きなことを書いて頂きます。そうすると、お書きになったストーリーが目の前に現れるのです。幻ですから、儚いものですが…。しかし、こちらは大変素晴らしいものです。ぜひとも、お買い求め頂きたい!
どうです?お安くしときますよ。お値段の方は、こちらの金額でどうでしょう……?』

どうです?こんな風に使えるのです。あなたも欲しくなりまして?」


今、貴方様がご覧になった2人は幻降用紙の幻ですよ。幻降用紙は楽しいですが…使いすぎると、どれが現実かわからなくなってしまうので、どうぞお取扱いにご注意を…。
だって、私も幻ですからねぇ…。
公開:18/07/15 00:21

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



note https://note.com/sumire_ssg

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