デザイナーズマンション

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馴染みの酒場で仲良くなった男に「家で飲もうぜ」と誘われて、適当な酒をいくつか持って訪れた男の部屋。中へ入るなり、俺は息を飲んだ。
そこに、十体以上の人間が並んでいたからだ。
「やだなあ、なにその顔。本物のわけないだろ。マネキンだよマネキン! ほら、俺デザイナーだからさ」
男が笑いを噛み殺しながら、コンコンとマネキンの体を叩いてみせる。
「お、驚かせるなよなあ」
リアルすぎだろ。突っ込みをいれつつ、俺はホッと胸を撫で下ろす。
しかし彼のデザインした服を身に纏うそのマネキンたちは生々しく、肌の色はもとより髪までしっかりと据え付けられていて、正直かなり不気味だった。
あまりにリアルすぎる姿に恐る恐るその肌へと触れてみると、それは、ぞっとするほど本物の質感をしていた。
「これ、本当にマネキンなのか……?」
「そうだよ? あ、でも」
彼はからりと笑いながら、あっけらかんと言った。

「剥製なんだ」
ホラー
公開:18/07/12 21:15
ランダムキーワード 倫理的にまずいマネキン

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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