死体の遺言

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妻を殺した。長年連れ添った年老いた妻だ。きっかけは通帳の在り処を聞いたことだ。妻は知らないといい、俺は文句を言った。物の管理は妻の仕事だと。それに対してあいつが言った。「自分の管理ができないから隠し子だって出来ちゃうのよ、だらしないクズな男」知られていた驚きと、侮辱と、見下しに俺はあいつを殴り殺した。死ね、死ねといいながら。気がついた時は部屋は真っ赤だ。妻の顔もわからない。俺は動転し、偽装工作に奔走した。アリバイ作り、隠滅完璧だ。だから刑事に呼ばれた理由がわからなかった。
「犯人はあなたですね」
「違う、ダイイングメッセージがあるじゃないか。犯人は間男のあいつだよ」
落ち着き払って答える俺に、刑事が写真を見せた。
「これをみても?」
俺は目を見開き、言葉を失った。
「犯人は夫」
死後硬直の妻の体には、彼女の引っ掻き傷で残された蕁麻疹が赤く残っていた。
ミステリー・推理
公開:18/07/11 12:02
お粗末ミステリー 胸糞

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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