6
73
彼女は、恋人が欲しいのだと言う。
僕が恋人ならば、ずっとそばにいてあげるのにと思う。
だが、僕なら絶対に彼女を泣かせないし、絶対に幸せにしてみせる、なんてことは言えない。それはひどく難しいことだ。
今の僕は、家で帰りを待っていることしかできない小さな男だ。本当に非力で、不甲斐ないと思う。
疲れて帰ってきた彼女は、今日もスーパーの袋からパックに入った出来合いのものを取り出す。毎日あんな食事を続けていて、本当に心配している。
しかし、姿を見せる事すらもできない。彼女は僕に似た姿を見かけるとすぐに悲鳴をあげ、叩き殺して、そうして泣いてしまう。
きっと僕は、彼女と対面したらあまりの美しさに動けなくなってしまうだろう。気がついたときには殺されてしまっているだろう。それは幸福に思えるけれど、安易に近づくことは自殺行為だ。
だから愛しい彼女がこの家を出ていく日まで、冷蔵庫の陰から見守り続ける。ずっとだ。
僕が恋人ならば、ずっとそばにいてあげるのにと思う。
だが、僕なら絶対に彼女を泣かせないし、絶対に幸せにしてみせる、なんてことは言えない。それはひどく難しいことだ。
今の僕は、家で帰りを待っていることしかできない小さな男だ。本当に非力で、不甲斐ないと思う。
疲れて帰ってきた彼女は、今日もスーパーの袋からパックに入った出来合いのものを取り出す。毎日あんな食事を続けていて、本当に心配している。
しかし、姿を見せる事すらもできない。彼女は僕に似た姿を見かけるとすぐに悲鳴をあげ、叩き殺して、そうして泣いてしまう。
きっと僕は、彼女と対面したらあまりの美しさに動けなくなってしまうだろう。気がついたときには殺されてしまっているだろう。それは幸福に思えるけれど、安易に近づくことは自殺行為だ。
だから愛しい彼女がこの家を出ていく日まで、冷蔵庫の陰から見守り続ける。ずっとだ。
ホラー
公開:18/07/11 03:19
更新:18/07/14 13:51
更新:18/07/14 13:51
恋愛
ホラー
生まれ変わったらジンベエザメになりたい。
Twitter@hrpkrybook
お問い合わせ
hndk.ak@gmail.com
使用写真はすべて自分で撮影しています。
ログインするとコメントを投稿できます