恋色Ｔシャツ

香奈と陽介は幼馴染み。
同じ高校に進学した。
「はい、これ」
「なに？Ｔシャツ？」
「誕生日だから」
「白しかも無地？センスねーな」
「まあいいから着てみて」
陽介がＴシャツを着ると、模様が浮かんできた。このＴシャツは女子の間で密かに流行っていた。気持ちが模様になって染まるのだ。陽介のＴシャツは香奈のＴシャツの色に染まった。
「そのＴシャツさぁ、意識してる人の気持ちが模様に出るんだよ」
陽介はＴシャツを脱いで投げつけた。
「ふざけんなっ！人の気持ち、もて遊んでんじゃねーよ！」
彼は口を聞かなくなった。
大切な気持ちをＴシャツで知られてしまい、傷ついたのだ。
ある日、陽介は香奈を屋上に呼び出した。
「もう友達とか無理だから」
「そう、だよね。ごめん」
「殴らせろ」
陽介は香奈の腕をつかみ拳を構えた。
「俺は誰にも染まらねぇ！」
拳を振り上げ、震える香奈を抱きしめた。

「俺が染めてやっから」