霊蔵庫

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このクソ暑いのに冷蔵庫が壊れた。アイスたち全滅の危機だわ!
で、当てもなく商店街さまよってると、見たことない電気屋さん。小さな冷蔵庫、千円で売ってるし。
「これ、やけに安いけど使えんの?」
「メーカー保証品でおま」
塔死婆って書いてるけど背に腹は変えられん。あたしはそれを担いで家に帰った。

そして電源を入れると、
「まいど」
と挨拶をした。
「わっ、冷蔵庫がしゃべった!」
やっぱり欠陥品だ!
「そない驚きなや。それとな、冷とちゃう霊蔵庫や」
冷じゃなく霊の字になってる〜。
「わしは、取り憑いた霊を封じ込める機械ちうわけや」
「でもあたしに霊なんて──」
「そらあんさんが気ィついてへんだけ。ぎょうさん憑いてまっせェ」
というが早いか、霊蔵庫は数十匹の悪霊を吸い込んでいった。
「ほな、さいなら」
と、霊蔵庫はあたしの家から出て行った。

ああ、ずうっと悩まされてきた肩コリがなくなってる──。
ホラー
公開:18/07/12 02:45
更新:18/09/17 16:34

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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